推しのいちばん好きな時 東洋大学陸上競技部の場合

これは、ほぼほぼの人が興味ないかもしれませんが、わたしの推しごとに外せない、東洋大学陸上競技部の話をします。たぶん他のより長文になります。

 

 

東洋大学、ご存知ですか?

毎年お正月の箱根駅伝の上位常連校です。

頭角を表してきたのが2009年の箱根駅伝、後世に「山の神(二代目)」として名を轟かす柏原竜二の登場によって初優勝を遂げてから現在まで、以下の鬼成績を続ける箱根強豪校です。

 

85回 2009年 総合優勝(初)(往路優勝 復路優勝)

86回 2010年 総合優勝往路優勝 復路2位

87回 2011年 総合2位往路優勝 復路2位

88回 2012年 総合優勝(往路優勝 復路優勝)

89回 2013年 総合2位往路3位 復路4位)

90回 2014年 総合優勝(往路優勝 復路優勝)

91回 2015年 総合3位往路3位 復路4位)

92回 2016年 総合2位(往路2位 復路2位)

93回 2017年 総合2位(往路4位 復路2位

94回 2018年 総合2位往路優勝 復路2位

95回 2019年 総合3位往路優勝/往路新 復路5位)

96回 2020年 総合10位(往路11位 復路7位)

97回 2021年 総合3位往路2位 復路9位)

 

箱根、死ぬほどつよいんですよ。東洋大学

96回大会は目を疑いましたけど、96回以外は全て総合3位以内。

この記録は相当やばいんですけど、優勝以外の成績の年は、お通夜状態になるストイックな大学です。

このところ、総合優勝から遠のいていますが、それでもこの地肩の強さ、酒井監督の名将っぷりを表しています。

 

f:id:nshimaan:20210630221744p:plain

酒井監督(右)

 

酒井監督は初優勝の85回大会に東洋大学の監督に就任。

彼も東洋大学のOBで元陸上部員、箱根でも一年生時から走りました。その後コニカミノルタに入社したエリートです。最終学年時にはキャプテンを務めながら、メンバー入りを逃すというエモエモエピソード持ちです。

とにかくこの方、ドラマチックなんですよ・・・

 

f:id:nshimaan:20210630222459p:plain

学駅伝は、選手は4年で入れ替わるけど、酒井監督は一生卒業しないでほしい。

就任当時の年齢は32歳(ひーえー)。

学法石川高校の教員として陸上部顧問をしていた酒井さんの元に、東洋大学の監督への誘いがあったのは2008年、東洋大学陸上競技部の部員が起こした不祥事の責任をとって当時の監督が辞任し、その後任にとのことでした。当時の監督は川嶋伸次さんで2000年シドニー五輪男子マラソン日本代表、有名で実績のある監督さんでした。

 

川嶋さんが作り上げたチームを引き継ぎ、不祥事を起こした大学という色眼鏡と、当時最年少の監督(選手と10歳しか違わないのよ)として注目をされているなかでの、箱根駅伝東洋大学初優勝!なにこれ映画?

初優勝の立役者、柏原竜二はこの時1年生、柏原は酒井さんが、東洋へ導いた選手であり(同郷)その時は監督と選手として箱根を制すとは思ってなかっただろうから、ほんとに縁というか、なんというか。。。

 

しばらくコンビを組んだ佐藤尚コーチ(凄腕のスカウトさんでもある)は、

酒井さんが選手だった時の監督さんで。もうさ。。。なんのアニメですか。

 

f:id:nshimaan:20210630223919p:plain

※酒井監督と佐藤コーチ

 

そういう意味では私の推しは、酒井監督なのかもしれません。

酒井監督、初めてお目にかかってから、10年以上たちますが、ああ、きっと毎日毎日太陽に焼かれているんだろうなあと思うお肌の仕上がり具合、そこもとってもかっこいいと思っています。

 

 

本題。

私の東洋大学陸上競技部のいちばん好きな時。

 

2012年1月2.3日に行われた 箱根駅伝第88回大会の10人+酒井監督+佐藤コーチ・スタッフ・生徒のみなさんです。

私はこの大会で、駅伝オタおよび東洋オタになりました。

 

youtu.be

 

この年は、東洋の(いや箱根の)伝説、柏原竜二が4年生時で、自身が持っていた5区の個人記録も塗り替えるという、「柏原やなあ〜(ニヤニヤ)」を満喫できたお正月でした。

柏原がいた4年間、柏原の走った5区で、柏原の前でゴールした選手はいないんですよね。それがどんなにすごいことか。山ですからね。

 

柏原1年時 襷を受けてから8人抜き 総合優勝(初)(往路優勝 復路優勝) 

柏原2年時 襷を受けてから7人抜き 総合優勝往路優勝 復路2位

柏原3年時 襷を受けてから2人抜き 総合2位往路優勝 復路2位

 

箱根は山を制したものが勝つと言われていて、正直柏原は山に関してはチートすぎて、誰も勝てないと言われてました。裏を返せば、東洋は、柏原頼みのチームと言われていたんです。それでも3年時は復路で逆転されてしまって、総合2位。

 

優勝した早稲田(大迫在籍)との差は21秒。1人当たり2秒と少しで逆転できるほんのわずかの差でした。東洋大学のスローガン、1秒をけずりだせはここからきています。

 

そして柏原の最終学年、柏原はトップで襷を受け取り、そのまま自分の記録も往路記録も(ついでに復路記録も)塗り替えて完全優勝します。

この年もめっちゃかっこよかった。今もたまに見返します。

 

個人成績も素晴らしいんですよ。

 

 (往路)

1区 宇野博之(4年) 区間順位4位 往路順位4位

 ※この時の区間1位はあの大迫(早稲田)です。大迫の飛び出しに焦らず、30秒差でつなぐ渋い仕事をしました。これぞ4年生の仕事。宇野先輩素晴らしかった。

 

2区 設楽啓太(2年) 区間順位2位 往路順位1位

 ※区間順位2位ですけど、ここは外国人・エース区間です。下級生で2区任されて、区間2位張れる啓太もやっぱりチートです。冷静なレース運び、本当に頼れる大エースでした。大好き。

 

3区 山本憲二(4年) 区間順位2位 往路順位1位

 ※ヤマケン先輩、一回追いつかれて、落ち着いて並走の後、早稲田をがっつり置いていく!前年の箱根のアンカー、追いかけて届かなかった21秒のリベンジを見事に果たす。ヤマケン先輩ばりカッコよかったっす。

 

4区 田口雅也(1年) 区間順位1位 往路順位1位

 ※1年生、初めての箱根で区間賞!頼れる下級生、田口の初箱根RUNでした。近年の箱根の戦い方は、酒井監督が設計したと行っても過言ではないと思っていますが、この時の4区田口起用には痺れました。正直田口はノーマークだったんですが、こういう選手が活躍する東洋が好きです。

 

5区 柏原竜二(4年) 区間順位1位(区間新) 往路順位1位

 ※常に前を追ってたくさんの背中を追い抜いてきた柏原が初めて、前に誰もいない状態で受ける襷。田口を待つ柏原がニッコニコで嬉しそうだった。1年生の田口が、必死に走って、最強の先輩に襷を渡す。今後3年間、田口も東洋を引っ張るんですよ〜。えも〜。これまで柏原に引っ張られてきたチームメイトが、柏原にプレゼントした最後の山。これを受けた柏原は、自分との勝負に集中して、そして勝つんですよ。最高です!

 

 (復路)

6区 市川孝徳(3年) 区間順位1位 往路順位1位

 ※山は往路と復路でセットです。市川くんは去年、同じ6区で早稲田に抜かれたんですよね。今回、見事リベンジ!区間賞!見てて安定感ありました!この年は3年生も漏れなくいい仕事したんですよ!

 

7区 設楽悠太(2年) 区間順位1位(区間新) 往路順位1位

 ※近年の箱根の戦い方は、酒井監督が設計したと行っても過言ではないと思っております(2回目)7区に設楽弟置ける余裕よ。この悠太がまたチートで、7区の区間新とかまじかよ。この後7区にエースを置くオーダーが流行りましたよね。去年は2区3区の兄弟襷リレー、今年は2区7区。同じコースの表裏を走った天才兄弟。冷静な兄と飄々とした弟。もう大好きでした。まだまだ見てたい。

 

8区 大津顕杜(2年) 区間順位1位 往路順位1位

 ※大津くんも気合の入った走りでした〜。この後も、天才設楽兄弟の向こうを張って、東洋を引っ張っていってくれたひとりでしたよね。やばいここも区間一位。もう東洋誰も止められない空気出てました。

 

9区 田中貴章(4年) 区間順位6位 往路順位1位

 ※やったぞ田中でお馴染みの田中くん。私の推しメンでした。田中くんの最終学年、ずっと柏原くんを支えてくれた女房的なチームメイト。箱根の魔物に魅入られて、腹痛を起こしてしまい、区間6位。っていうか、魅入られたのに区間6位は冷静に考えてチートです。9区に置かれたっていうのは酒井監督の信頼だと思うんですよ。田中くんもわかってたと思う。きちんとまとめて、仕事を果たして。4年生の意地というか、力なんだなって泣いた記憶があります。箱根は4年生がいいチームが勝つんです。この年の東洋の4年生は強かった。まじでこの世代やばい。強くてかっこいい先輩、卒業しないでええって思った、ほんとに思った。

 

10区 斎藤貴志(3年) 区間順位1位 往路順位1位

そしてアンカーは3年生。もうね、酒井監督のオーダーは美しい。酒井監督の仕事は線なんですよね。つないでいく。選手は変わっても、東洋らしさがずっと変わらない。こんなに強いのに、地味で、いちばん前を走っていても、カメラに全然抜かれない不憫な東洋ですが、しぶとくて正攻法で華麗で泥臭くて強い、いつでも魅力のありすぎるチームです。東洋で研鑽を詰んだ選手は、大学を出てからもう一回開花するんです。実業団のレースに出ている選手は東洋だらけ。陸上を愛する生徒たちが、愛する陸上を長く続けられるように、大事なことをしっかり教えて、送り出す。私も、長く選手を見られて幸せです。

斎藤くん、気迫の走りで、最後のガッツボーズがマジでカッコよかった!

 

学駅伝というのは、優秀な選手をどれだけ獲得できるか、というところであらかた勝負が決まってしまうという側面がある中で、その意味で東洋は有利な位置にはありません。それでも近年のこの記録を叩き出せる東洋には、酒井監督の指導と勝負勘(オーダー)という強い武器があります。っていうか、やっぱわたし、酒井監督が好きなんだな。

今年も来年も再来年も、ずーっとずーっと見続けます、応援します、東洋大学!(熱)